発達障害の診断を受けようとしたことのある人ならわかると思いますが、現在、病院やクリニックには発達障害の診断を受けようとする人が殺到しているようです。
そのため、何カ月も予約が埋まっていたり、まずは予約のための予約をしなければいけないという状況です。それだけ発達障害の診断を受けようとする人が多いということですね。
しかし、その中には発達障害ではないのに、発達障害の診断を受けたがる女性もいるようです。
精神科医の香山リカさんが、以下の記事でそのことを指摘しています。
診察の範囲では、この人たちにはADD、ADHD、アスルペルガー症候群などと診断されるような発達の障害は感じられず、むしろ何ごとも完璧にしないと気がすまない、理想の自分でないと許せない、という完璧主義的な性格が問題であるように思われた。
香山さんによると、このような女性は発達障害ではなく、完璧主義や理想が高いといった性格(ややる気)に問題があるようです。
さらに、発達障害ではないと診断されるととがっかりする女性もいるそうです。なぜかというと、このような女性は「特別な自分になりたい」という願望があるからだそうです。発達障害=特別な自分と考えているようです。
「何者かでいたい」という私たちの欲望は、とくにこの現代社会、根深くてキリがない。もちろん「スターとして注目を集めたい」「作家になって多くの人を感動させたい」といった前向きな夢や願望もあるが、これはなかなかかなうものではない。
そういう人たちの一部がいま、メンタルクリニックを受診し、「私に病名をつけてください」と言っているように思うのだ。その人たちは社会全体から見るとごく一部だが、そこに集約されているいまの社会の問題は、そう簡単には解決できない気がする。
香山さんの意見は少し意地悪な感じもしますね・・・。
ただし、現在は確かに発達障害が「ブーム」のようなものになっているような気もします。その影響で、発達障害ではないのにそう思ってしまうという人も増えているのかもしれません。
しかし、記事にもあるように、アメリカとは違い日本ではこれまで発達障害自体が知られていなかったので、子どもの時に診断を受ける機会がなかった人が多く、それで大人になってから診断を受けようとする人が増えているようにも思えます。
また、普通の人の怠惰とみられる行為(整理整頓ができない、遅刻など)に厳しい(日本の)社会も原因としてあるように思えます。
この厳しさから逃れる手段の一つが、(発達)障害という診断になっているように思えます。それで、障害の診断を求める人が増えているのかもしれません。
参考記事:「発達障害です」と言われたい?尽きぬ悩みに原因求める女性たち