いじめ後遺症というのは、いじめの被害者が大人になっても抱える後遺症のことです。アメリカでは「成人いじめ後症候群(APBS)」という言葉もあります。
日本でも最近になっていじめ後遺症に関するドラマなども放送され、知られてきたように思えます。引きこもりの人の中でも、いじめ後遺症を抱えた人が少なくないです。
そこで、いじめ後遺症の短期的・長期的影響や、対処の方法などを紹介します。
目次
いじめられた年齢が重要
外国の研究によると、いじめ後遺症には、いじめられた年齢が影響しています。10歳から12歳程度の年齢(pre-teen)でいじめられた人のほうが、それ以上の年齢(teen)でいじめられた人よりも、マイナスの影響は少ないです。
つまり、中学生以降にいじめられた人のほうが、いじめのマイナスの影響が強いということです。
いじめの短期的影響と長期的影響
いじめの短期的影響と長期的影響は以下です。
短期的影響
- 怒り
- うつ病
- いじめが起こりそうな場所を恐れる
- 成績の低下
- 自殺企図
長期的影響
- 職業機会が限られる、就職に苦労する
- 怒りや苦しみの感情、復讐したい気持ちが続く
- 人を信頼できなくなる
- 対人関係の困難。対人関係に恐怖を感じたりや新しい社会状況を避ける
- 孤独になりやすい
- 被害者意識を感じやすい、過度に敏感になる
- 自尊心に問題を抱える(自分のことをよく思えない。)
- 継続的ないじめの被害者になりやすい
いじめ被害者の考え方
いじめ被害者は、過去を変えようとする(それは不可能)のではなく、幸福が達成できるよう、現在を生きようとするのが大切です。
詩人ジョージ・ハーバートの有名な言葉「愉快に暮らすことこそ、最高の復讐である(living well is the best revenge)」が大切なのかもしれません。
認知行動療法も有効
いじめ後遺症の人には、認知行動療法も有効です。特にうつ状態や怒りにより、自分が無価値や無能だと感じる人には効果があります。
サポートしてくれる家族や友人
また、いじめ被害者にとって、サポートしてくれる家族や友人がいることが大切です。サポートしてれる人たちの支えによって、いじめの影響を減らすことができます。
いじめでネガティブなメッセージを受けても、サポートしてくれる人たちのポジティブなメッセージがあることで、ネガティブな影響を受けずに済みます。
また、「同世代との新たな親密な人間関係を上書きする」ことで、いじめのトラウマを克服できるという精神科医もいます。
いじめで身体的に怪我をしても、それが心理的な傷にならなければ、いじめの影響は少ないです。
いじめの被害者はアイデンティティと自尊心を回復する必要がある
いじめの被害者は、アイデンティティと自尊心を回復することが大切です。もう一度、世界は安全だと感じられる必要があります。他者にとって価値のある人間であるということを認識できることが大切です。
参考記事:The Long Term Effects of Bullying / 斎藤環さんに聞く「治癒できる『いじめ後遺症』」