以前こちらの記事で紹介したように、フランスにおけるADHDのとらえ方は、アメリカと異なるようです。
フランスでは子どものADHDを「社会的な障害」と定義しているそうです。そのため、ADHDの治療の中心は薬ではなく、カウンセリングや生活習慣の改善になるそうです。
同じ障害でも、国によってそもそもの定義や治療法が異なるというのは興味深いですね。以下の記事を参考にしました。
アメリカは治療の中心が薬
2011年の調査によると、アメリカでは、4歳から7歳の子どもの約11%がADHDと診断されています。
またADHDと診断される子どもの数は年々増加していて、2003年からの4年間で、7.8%から9.5%に増えているそうです。
ADHDと診断された子どもの多くは、ADHD治療薬を服用します。一方でフランスの医者は、ADHDの子どもに薬を飲ませないと言われています。
フランスはADHDを「社会的な障害」と定義
フランスの医者はADHDを「生物学的障害」とは考えず、心理社会的なものだと考えます。
そのため、フランスの専門家はADHDを、社会的なものが原因の「社会的な障害」だと定義しています。
一方でアメリカでは、医者の多くがADHDを「神経学的な障害」と定義しています。原因は生物学的な欠陥や脳の科学物質のバランスが崩れることだと考えます。
フランスではカウンセリングや生活習慣の改善、食事が治療の中心
アメリカでは「アデロール」のようなADHD治療薬が中心的に使用されます。
一方でフランスは、「心理療法」と「家族のカウンセリング」がADHD治療の中心です。またフランス人は子どもの食事や生活習慣を重視していて、ADHD治療薬はあまり使用しないそうです。
参考記事:ADHDの人が食べてはいけない20の食べ物、ADHDの人が食べてはいけない20の食べ物
「アメリカ」と「フランス」では、ADHDの定義や治療法が異なるのはとても興味深いですね。
日本はどちらかというとアメリカに近いのでしょうか。
一番無難な考え方は、ADHDには生物学的な要因と、社会的な要因の両方があるという考え方でしょう。ADHDの人は脳の状態が普通の人とは異なる一方で、何を「障害」と見るのかは社会によって異なりますよね。ADHDの人でも活躍できる社会であれば、それは障害ではなくなりますから。
したがって治療法も両方行うのが好ましいのかもしれません。
まとめ
・アメリカはADHDを生物学的なものと見る。治療は薬が中心。
・フランスではADHDを社会的なものと見る。治療は心理療法、家族のカウンセリング、食事、生活習慣の改善。薬はあまり使用しない。
参考記事:フランスはADHDの子供が少ない!? / ADHD As A Sociological Disorder: Know Why French Children Are Off ADHD Medications