行動活性化療法という、うつ病の治療法を知っていますか?
行動活性化療法は、有名な認知行動療法と同じくらいの効果が期待できる、うつ病の治療方法です。
行動活性化療法と認知行動療法の違い
認知行動療法は認知の歪みという、うつ病の原因に焦点をあてます。
一方、行動活性化療法は原因ではなく、うつ状態を続けさせている行動に着目します。
- 認知行動療法→「認知の歪み、うつ病の原因」
- 行動活性化療法→「うつ状態を続けさせている行動」
以下の記事では具体的な「行動活性化療法」の例が紹介されています。
たとえば、「仕事に対する自信をなくし、職場復帰したいのに一日中家でふさぎこんでいる」患者がいるとしよう。
BAの立場からは、彼、彼女は職場で体験する嫌な状況や気分から逃れるため、行動を抑制する「回避」状態にあると定義される。
回避行動は結果的に、自発的な行動を増やして自己効力感を取り戻すチャンスを減らしてしまう。
この悪循環を断ち切るには、うつ病の主症状である「嫌な気分」や「やる気がでない」状態にとらわれず、職場復帰したいという本来の目的に近づく「接近行動」、たとえば朝は起きる、顔を洗う等々を実行することが肝心。
毎日の生活で、嫌な気分に自分の行動を決めさせるのではなく、行動で気分を変化させるわけだ。つまり「やっていれば、そのうち気分もノッてくる」のである。
記事にもあるように、簡単に言うと、行動を変えることで気分を変えるのが行動活性化療法です。
嫌な気分を変える→行動を変える、という流れではなく、行動を変える→嫌な気分を変える、という流れです。
うつ状態になると、まずこのうつという精神状態を何とかしなければならないと思いがちですが、行動活性化療法は、気持ちは置いておいて、行動を変えることに集中することが、結果的に気持ちを変えることにつながると考えます。
イギリスでの研究によると、この行動活性化療法は、認知行動療法と同程度の効果が見られたそうです。科学的にも実証されている治療法のようです。
体がどうしても動かない場合は難しいのでは?
ただし少し疑問なのは、ひどいうつ状態の時はどうしても体が動かなくなる場合がある点です。行動したくてもできないような状態で、ひたすら寝たきりになるということもあると思います。
そんな場合は行動ができないのですから、「行動活性化療法」はなかなか難しいのではないかと思います。
しかし、治療法の選択肢の1つとして考えると良いかもしれませんね。もし認知行動療法があまり効果がないと思った人は、こちらを試してみると良いのかもしれません。あるいは併用することもいいのかもしれません。
参考記事:うつ病治療に行動活性化療法 嫌な気分の時こそ、動く