『いま、会いにゆきます』などの作品で有名な小説家の市川拓司さんは、自らが発達障害であることを公表しています。
そして最近『ぼくが発達障害だからできたこと (朝日新書)』という本を出版しました。
そんな市川拓司さんですが、インタビューの中で「疑似発達障害」について語っています。
自分が抱えている症状を発達障害が理由なのだと思い込んだり 、遺伝子に問題がないのにまるで発達障害のような症状を見せたりする若者たちのことです。その背景にあるのは、食生活や運動不足など生活習慣の問題です。DVやネグレクトが影響している場合もあるでしょう。
参考記事:先進国に蔓延している「擬似発達障害」の正体とは? 『ぼくが発達障害だからできたこと』市川拓司インタビュー【後編】
「疑似発達障害」の人は、「遺伝子に問題がないのに、発達障害のような症状を見せる」人のことだそうです。これは「生活習慣」などの「環境」が原因だそうです。このような人が、先進国では増えていると言います。
「発達障害」は「脳」に問題があるので、「生まれつき」のものが原因ですよね。
疑似発達障害の人は「マイナス面」だけが現れてしまう?
興味深いのは、疑似発達障害の人は発達障害の「マイナス面」だけが現れてしまうという指摘です。
でも、擬似発達障害の子たちは生まれた後に、外的要因によって脳の内分泌が変化したり、前頭葉の機能が著しく低下したりするものだから、凹が現れてもそれを補う凸が現れません。結果、発達障害の負の部分だけが現象として出るのだから、やりきれませんよね。
参考記事:先進国に蔓延している「擬似発達障害」の正体とは? 『ぼくが発達障害だからできたこと』市川拓司インタビュー【後編】
発達障害の人は、マイナスの部分がある一方で、プラスの部分もあるそうです。たとえば、普通の人がするようなことは苦手だが、絵や音楽など、芸術的才能に恵まれている場合があります。普通の人はできないが、発達障害の人はできることがあるということですね。
しかし、疑似発達障害の人はその「プラスの部分」がなく、マイナスの部分しか現れないそうです。
なぜかというと、疑似発達障害の人は「外的要因によって脳の内分泌が変化したり、前頭葉の機能が著しく低下したりするものだから、凹が現れてもそれを補う凸が現れません。」だからだそうです。
確かに発達障害と診断されていないが、発達障害のような症状を持つ人というのは、日本でもたくさんいるような気がします。そしてその人たちの多くが、普通とされることができないという、マイナスの部分で苦しんでいるように思えます。
サラリーマンの仕事が増えたことで発達障害の人が苦しむ?
市川さんは、また、(疑似)発達障害者の人が苦しむのは、「普通の人ができないが、発達障害の人はできる」という仕事が減っていることが原因だとも言います。
つまり、現代は「サラリーマン」の仕事が増えたということですね。
僕らの親の世代ぐらいまでは職人的な仕事が多く、特殊な技能や図抜けた集中力を活かせる職業が少なからず用意されていました。でも現代は、多くの人がサラリーマンになります。僕もサラリーマンとして事務の仕事をしていた経験があるので、そのつらさはよくわかります。
参考記事:先進国に蔓延している「擬似発達障害」の正体とは? 『ぼくが発達障害だからできたこと』市川拓司インタビュー【後編】
確かに、サラリーマンの仕事は、発達障害の人の「プラスの部分」を生かすことがあまりできないような気がします。
9時5時という時間が決まっていて、遅刻は許されず、組織の中で決まった規則に従い、調和的なコミュニケーションを求められるというのは、辛い人も多いでしょう。
職人的な仕事であれば、自分のペースで仕事ができたり、コミュニケーションを求められることが少なったりするので、発達障害の人もその特性を生かしやすかったのかもしれません。
IT系は発達障害を活かせる職業?
一方で、市川拓司さんは、「IT系の仕事」が発達障害の人に向いていると指摘しています。
ただ、現代だからこその、発達障害を活かせる職業というのもあって、それはIT系です。対人関係があまり必要ないし、集中力を発揮できるし、好奇心が満たされるから、IT系の仕事はある種の発達障害の子たちに向いていると思います。
参考記事:先進国に蔓延している「擬似発達障害」の正体とは? 『ぼくが発達障害だからできたこと』市川拓司インタビュー【後編】
確かに、アスペルガー症候群の人に向いている仕事の一つとして、「プログラマー」の仕事がよく言われます。
もちろん、IT系の仕事でもコミュニケーションは求められるし、人によって適性があるとは思いますが、仕事を探している発達障害の人は参考になるかもしれません。