残念なことに、ADHDの人は、「やる気がない」「怠けている」「無気力」などと悪いレッテルを貼られることがよくあります。これらのレッテルは、偏見であり、ADHDの人を傷つけるものです。
ADHDの人が「怠け」や「やる気がない」と言われてしまうのは、ADHDの人は「動きが少ない」または「動きが遅い」特徴があるからです。これは、実行機能の問題から生じます。
この実行機能の障害を理解することは、世の中にはびこるADHDの誤解を正すために重要です。
実行機能の障害は、仕事の「開始」「整理」「持続」の邪魔をします。多くの人は、このような「麻痺した」状態を経験したことがあるのではないでしょうか。
たとえば、仕事を始めたいと思っているのに、ぐずぐずしてどうしても先に進むことができない状態です。
次のADHDの人の実体験はとても参考になります。
私は職場のデスクに座り、今日の仕事を確認します。そして、長い時間をかけて仕事に取りかかります。しかし、最初に何から手を付けたらいいかわかりません。そして、やっとのことでやることを決めても、その仕事が楽しくなければ仕事を始められません。私はただ椅子に座り、壁を長いこと見つめます。ありとあらゆる雑念が頭に浮かんできます。そして、思わず壁を壊したくなるような気持ちに襲われるのです。
このような「麻痺」の感覚は、途方に暮れ、先延ばしをし、避けようとする感情をもたらします。そして究極的には仕事の生産性を低めます。
またこのような状態は、周囲の人をがっかりさせてしまいます。ADHDの人は、刺激的で面白い仕事や、新しく興奮する仕事には高い能力を発揮します。一方で、退屈で反復作業の多い仕事はパフォーマンスが落ちることが多いです。そのため、周囲の人はそのギャップに困惑するのです。
また、仕事を始めることができたとしても、仕事に集中し続けることも大変です。ADHDの人は仕事の終わらせ方は知っています。そして、一生懸命そうしようとします。しかし、できないのです。
「退屈」や「飽きっぽさ」は、ADHDの子どもと大人に共通する問題です。意識がもっと面白い活動や考えに向かった場合は、退屈な仕事に意識を集中することはほぼ不可能に近くなります。
改善する方法は?
まず最初に、ADHDの専門家に相談することが大切です。また、次の「戦略」も試してみましょう。
1.仕事を細かく分ける
仕事を確実に終わらせることができるくらいの最小単位にまで分けます。
2.小さな目標を設定する
大きな目標を設定すると、達成するまでに時間がかかりますし、達成できない可能性も高くなり、やる気を失いますよね。しかし、小さな目標であれば、やる気も持続します。
3.ご褒美を与える
目標のゴールに少しでも近づいたら、自分にご褒美を与えましょう。
4.仕事に取り組む時間を細かく区切る
時間を細かく区切ることで、ダラダラしてしまったり、退屈を感るのを防げます。
5.運動をする
参考記事:ADHD and Motivation