ADHDの人とシャイな人は、イメージでは正反対のようにも思えます。
ADHDの人は活動的で元気なイメージがあり、シャイな人はおとなしくて自分の殻にこもるというイメージです。
しかし、実はADHDでシャイな人というのは案外たくさんいます。
特に、日本人はシャイな人が多いので、ほかの国よりもシャイなADHDの人は多そうです。
そこで今回はADHDとシャイの関係を紹介します。
目次
「シャイ」とは?
シャイの人は、近くに人がいる状況で不安を感じたり、ぎこちなくなったりします。これは恥ずかしがり屋や人見知りに近いです。
特に、新しい環境に行ったり、新しい人と出会うときそれが増します。
そのため、シャイな人は新しい行動をするのに臆病になってしまうことがよくあります。不快感と居心地の悪さを感じるので、行動しないほうがましだと思うからです。
ただし、シャイは永遠に続かない点が重要です。シャイな人でも、自信を持ち安心感を得られる方法がたくさんあるのです。
私たちの社会は社交的な人の価値が高く、シャイな人の価値は低くなりがちです。また、シャイの人は「冷たい」や「威張っている」などと誤解されがちです。
もちろんそれは真実ではありません。
有名人の多くはかつてシャイだったか、現在もシャイな人です。シャイだからといって、成功できないわけではありません。
シャイと内向的の違い
シャイは「内向的な性格」とは関係がありません。外向的な人でもシャイになります。
ただし、シャイな人と内向的な人では社交の場所を避ける理由が違います。
内向的な人は孤独になることで元気を回復します。そのため社交の場を避けるのです。一方、シャイな人は自分が傷つくことを恐れるために、社交の場を避けるのです。
シャイの原因
シャイについての研究はまだ研究途上の段階です。
ただし、これまでの研究で明らかになったことは、シャイは遺伝と関係があり、また子供時代の生育環境と成長過程の経験の両方が影響することです。
大人のADHDとシャイ
大人のADHDの人の中にもシャイで悩んでいる人がいます。
ADHDの人の典型的なイメージは、過度に活動的で場を盛り上げるようなものなので、シャイとは正反対のように見えます。
しかし、ADHDにはもっと多様性があります。
ADHDの人は、衝動的・空気が読まない行動や発言、社会生活のルールを壊してしまうことで、恥を感じ悩むことが少なくありません。
過去の行動や周りの人からの批判で多大な恐怖が蓄積されます。加えて、世間話もADHDの人には苦痛です。そのため、シャイになる人も多いのです。
専門家によると、シャイの三つの要素は以下になります。
1.過剰な自意識(自意識過剰)
2.過剰なまでに自己評価が低い
3.過剰なマイナスの「自己没頭」(他人と一緒にいる時、いつも自分は「間違った」ことをしていると思ってしまう。)
特に、ADHDの人は過剰なまでに自己評価が低いのが特徴です。
それでは、次にシャイを改善する方法を紹介します
ADHDの人がシャイを改善する方法
1.シャイになる場面を特定する
人は全ての場面でシャイになるわけではありません。たとえば、シャイな人でも家族の前では堂々としていることがよくあります。
そのため、シャイになってしまう場面を考えましょう。
たとえば、職場でのプレゼンテーションやデート、新しく出会う人の前など・・・その場面を特定し、改善をしていきましょう。
2.自分のことをシャイだと決めつけるのは止める
一度自分をシャイな人間だとラベル付けしてしまうと、次からはそのラベルに自分を合わせようとしてしまいます。
今からでも遅くありません、自分をシャイだと思うのは止めましょう。
3.自尊心を高める
自尊心を高めることは、シャイを改善するのにとても役に立ちます。
自尊心を高める方法としては、現在悩んでいることの中から解決できそうなものを見つけ、改善します。たとえば私の知人は、増えすぎた自分の体重を減らすことで劇的に自尊心を高めることができました。
また、得意なものを伸ばすのも有効です。特に、ADHDの人は莫大な時間を使い自分の欠点を直そうとするので、自分の得意なものを見つける余裕もない人が多いです。
たとえば、ピアノ、芸術、ダンスなどをやってみて、自分の得意なものを見つけましょう。
4.自分を批判するのはやめる
シャイな自分を改善するには、思いやりを持って自分に語りかけることが重要です。批判ではありません。
たとえば、気分が落ち込んでいて食べ物を落としてしまったり、人の名前を忘れてしまったりしても、それは問題ではありません(それで自分を批判してはいけません)。
その代わりに、努力して改善しようとした事実に目を向けましょう。
5.誰もあなたを見ていません
シャイな人は、自意識が過剰になりがちです。
いつも自分が他人にどう見られるかを考えたり、「自分の噂をしているのではないか」と他人の話しが気になってしまいます。
しかし、たとえあなたが周りからとても愛される人だとしても、全ての人があなたを見ているわけではありません。リラックスしましょう。
6.面白いことを言わなくてもいい
ほとんどの人は面白い話のネタなど持っていません。
たとえ面白いことを言わなければいけないとプレッシャー感じても、気にする必要はないのです。
ただし、ADHDの人は新しい情報に敏感な人も多いので、周りの人も知らない面白い話ができるかもしれません。
7.社交術を学ぶ
成長して大人になると、社交の技術を訓練する場はなくなります。
もうすでに「知っている」とされてしまうのです。ADHDの人にとってそれは問題です。
ただし、社交術を身に付ける方法はたくさんあります。たとえば、『人を動かす』という本は古典ですがたくさんのヒントがあります。
たとえば、あなたが社交上手だと周囲に思わせるにはどうしたらいいでしょうか?
それは、あなた自身がたくさん話すのではなく、ほかの人に質問をしてたくさん話をしてもらうことなのです。
8.趣味が同じグループに参加する
趣味が同じ人のグループに参加することは、シャイを克服するための素晴らしい方法です。
なぜなら、趣味が同じ人と一緒にいれば、「会話をすること」とが中心ではなく「一緒に活動すること」が中心になるからです。
そのうえ、自動的に共通点ができるので、会話もしやすくなります。
たとえば、走ることが好きならばランニングをするグループに参加しましょう。他には写真や料理のグループなど、趣味の数だけグループはあります。
今はインターネットもあるので、あなたの住んでいる地域にあるグループを探してみましょう。
9.記録をつける
GoogleドキュメントやWordを開いて、これまでの進歩の記録をつけましょう。
「自分の殻」を壊すたびに、何が起こるのかを記録するのです。
何か悪いことが起きましたか?何か良いことは起きましたか?「辛かった出来事」を文書にしてみると、思ったほどひどいものではなかったことに気がつくかもしれません。
記録をつけることで、これまでの進歩が目に見えてわかり、悪いことはほとんど起きていないことがわかるでしょう。また、いままで悪いと思っていたことでも、それほど悪いわけではないことがわかるのです。
参考記事:12 Ways to Combat Shyness When You Have ADHD