ニュースを見ていると、世の中には不公平や差別があふれているように思えます。
ただし多くの人はそのようなニュースを見て心を痛めても、それで極度に気分が落ち込んでしまったり、そのような不公平を正そうと実際に行動に出る人は少ないでしょう。しかしADHDの人はそうではありません。
ADHDの人は強い道徳意識を持っている人が多いです。
ADHDの人は差別や不正直、嘘をつく人、不公平な状況が嫌いです。ADHDの人は正義や、公平性、誠実さ、平等と真実を好みます。そして不公平な状況を目にして、実際に行動に起こす人もいます。
それでは、なぜADHDの人は道徳意識が強いのでしょうか。その理由を3つ紹介します。
1.「気に入らないことは我慢ができない」
ADHDの人は「性に合わない」ことをするのが我慢できません。そのため、仕事をすぐに辞めてしまうも多いです。ADHDでない人なら、性に合わない仕事でも我慢して続けられるかもしれません。しかし、ADHDの人はそれができないことが多いのです。
同じように、もしADHDの人が不公平な出来事(大きいまたは小さい)を目撃した場合、すぐに抗議の行動に出ることも少なくありません。
2.「社会規範に縛られない」
ADHDの人は社会規範に縛られません。
たとえば、ADHDの人が夕食のパーティーに参加したとしても、気が合う人がいなければすぐに帰ってしまうかもしれません(たとえパーティー主催者が一生懸命時間をかて料理を作っていたとしても)。
ADHDの人の考えるルールと、他の人たちが考えるルールは少し異なることが多いようです。
3.「恣意的なルール(勝手なルール)には従わない」
ADHDの人は不公平なルールに従いません。自分が納得できるルールにしか従わないのです。
もし公平性を妨げるルールがあるなら、ADHDの人はそのルールを破ることもあるかもしれません。
たとえば、空港のチェックインカウンターで長い行列ができていることを想像してください。
エコノミークラスのカウンターはいっぱいですが、ビジネスクラスのカウンターは空いていて人がいません。それを見たADHDの人は、エコノミーのチケットにもかかわらずビジネスクラスのカウンターでチェックインしようとするかもしれません。
なぜなら、一方のカウンターは空いているのにもかかわらず、行列して並ぶことは非合理的だからです。
このようなADHDの人の行動原則は、他にも一見公平には見えない状況でよく見られます。
「マイナス面」
ADHDの人は世界の様々な社会問題を目にすると、自分の無力さに打ちひしがれてしまいます。そのため、ほかの人よりも気分が落ち込む場合が多いようです。これは私自身もそうです。
また、実際に社会問題の解決に立ち上がった場合、家族や大切な人と一緒にいる時間は少なくなってしまいます。家族や大切な人からは「私を大事にしてくれない」と、家族や大切な人を傷つけてしまいかねません。
さらに周りからトラブルメイカーと思われたり、笑いものにされる場合もあります。
特に周囲と協調することを良しとされる日本社会の場合、世間に対して公平性を声高に主張したりすると嫌われる可能性もあると思います。
しかし社会が良くなるためには、たとえ周りと対立しても、間違っていると声をあげる人が必要だと思います。そういう意味では、道徳意識の強いADHDの人はとても重要な存在なのではないかと思います。
参考記事:ADHD and an Unusual Sense of Fairness