最新の研究で、「住む場所」が心の健康に影響を与えることがわかりました。さらに興味深いことは、住む場所の「標高」が関係していることです。
これまでの研究によると、標高が高く空気が薄い場所は、うつ病と自殺が増加する傾向があると言われてきました。
しかし、最新の研究で、標高が高い場所にはADHDの人が少ないことが明らかになったのです。
ユタ大学の研究者たちは、2つの場所の健康状態の統計を調査し、「高度」と「ADHD」の相関関係を発見しました。標高が平均6100フィートの場所では、ADHDと診断される人の割合が50パーセントも少ないのです。
例えば、ソルトレークシティは標高が430フィートの都市ですが、海抜近くの場所と比べて約38%もADHDの人が少ないそうです。
標高が高い場所に住むと「ドーパミン」が増え、ADHDが減る?
そして研究者によると、この理由のひとつは「ドーパミン」の量です。
標高の高い場所に住んでいる人は、酸素が薄いため低酸素状態になります。そして、低酸素状態になると、ドーパミンの量が増加します。(登山で高い山に登る人たちがしばしば幻覚を経験するのは、ドーパミンの量が増加するからでしょう。)
よく知られているように、ADHDの人は脳のドーパミンの量が少ないと言われています。
そのため、標高の高い場所に住む人は低酸素状態になり、ドーパミンの量が増えるため、ADHDの症状が減少するというのが研究者の見解です。
ただし、研究者はADHDの人に標高の高いところに引っ越すべきだと主張しているわけではありません。ADHDの子供を抱える親や当事者の人は、この情報を参考にして治療者と話し合うことが大切だそうです。
参考記事:ADHD Decreases as Altitude Increases