アメリカのメンフィス大学が行った研究で、ADHDの大人は創造性が高いことがわかりました。ADHDの人にはクリエイティブな人が多いということですね。
60人の学生を対象に調査を行ったところ、ADHDの人は「デザイン」や「クリエイティブ・ライティング」などの創造性を測定するテストで点数が高いことがわかりました。
ADHDの人は注意や集中力が欠如する特徴があり、従来の「学習環境」や「職場」に適応しにくいことが多いです。
しかし一方で、ADHDの人は革新的で役に立つ、まったく新しいアイデアを生み出すことができる可能性があるのです。
創造性の高いADHDの人に向いている仕事とは?
また専門家によると、創造性の高いADHDの人に向いている仕事の特徴は「多様性があり、常に動き回る仕事」です。
具体的には「営業職」や「起業家」など、常に動き回り、たくさんの人と話し、創意工夫のできる仕事です。
ADHDの人の集中力が改善すると創造性は失われる可能性
一方で、この研究は「ADHDの治療薬を服用しADHDの症状を改善している人」と「ADHD治療薬を服用していない人」の両方が含まれています。研究では、この両者の相違点は考慮されていません。
専門家によると「もしADHDの治療薬を服用して、集中力が改善されると、創造性は失われてしまう」可能性があります。
集中力や注意力の欠如と創造性は「トレードオフ」の関係にあるのかもしれません。
すべてのADHDの人の創造性が高いわけではない?
ただし、今回の発見はすべてのADHDの人に適用できるわけではありません。
ADHDの人の三分の二は「うつ病」や「行為障害」など、別の精神障害を持っていると言われています。そのため、大学に通えなかったり、成績が悪くて中退してしまう人も少なくありません。
しかし今回の研究で調査の対象となったADHDの人はすべて「大学生」であり、ほかの障害を抱えている人も少ないです。これはADHDの人たちの中でも少数派になります。
そのため、この研究のデータを一般化することは慎重になったほうがいいです。
ただし「双極性障害」を持つADHDの人は多く、「双極性障害」の人は創造性が高いことが多いです。
そのため、障害を抱えているADHDの人の多くも、創造性が高い可能性があります。ADHDと創造性の高さには何らかの関係があることは間違いないかもしれません。
今後のさらなる研究が期待されます。
参考記事:ADHD May Boost Creativity in Adults