ADHDの治療法としてニューロフィードバックという方法が注目を集めています。
この治療法はバイオフィードバックの一つです。バイオフィードバックとは、自分の体がどのように機能しているのかを自覚するテクニックです。
通常、電気センサーを使用して体を機械につなげ、身体情報を取得します。例えば心拍数を図るのはバイオフィードバックになります。
このリアルタイムの身体情報を利用して、体に影響を与えるテクニックを実践し、その効果をモニターすることができるのです。
「ニューロフィードバック」は、「脳」を対象としたバイオフィードバック
ADHDの人のニューロフィードバックの目的は、ADHDではない人の脳波と同じになるように脳波を再訓練することです。
この理論は、脳波が変化すれば症状もまた変化するという考え方に基づいています。ADHDの人の脳波がADHDではない人の脳波に近づけば近づくほど、ADHDの症状も減少するという考え方です。
ニューロフィードバックのセッション中は、電極のついた帽子をかぶります(痛みはありません)、そして脳波を図るマシンに接続されます。それから脳波がコンピュータスクリーンに表示されます。
セッション中はコンピュータ上での活動を行います。活動の目標は専門家の手順によってさまざまですが、たとえば集中力を伸ばすためにビデオゲームでキャラクターを動かしたりといったことを行います。
集中力を失うとゲームは止まります。脳波はセッションを通して記録されます。
効果はあるの?
ニューロフィードバックはまだ大規模な調査研究は行われていない治療法です。そのため、ADHDを改善するという効果に疑問を持つ人たちも多いのが実情です。
また、研究で示された情報には矛盾を含むものがあります。効果がないことを示す研究がある一方、効果があることを示す研究もあります。どちらにしても、ニューロフィードバックがそれだけでADHDの治療として効果的かを示すには、さらなる調査研究が必要です。
ただし、最近の国際的な研究を分析したオランダの科学者たちは、ニューロフィードバックはADHDに対して臨床的に意味があると発表しています。
高額な費用
ニューロフィードバックは1セッションに約100ドルかかります。そして、保険の適用外であることが多いです。効果が出るには通常40回以上のセッションが必要とされるため、高額な費用がかかります。
初めの治療セッションは一週間に2回行われます。この回数を行うのが難しい人たちも多いのが現状です。
対象者
(ADHD)の子供と大人
ニューロフィードバックの問題点は?
ニューロフィードバックの問題点は、トレーニングをあまりしなくてもすぐに専門家になれる点です。専門家になるトレーニングプログラムは5日以下で終わるものもあります。当然ながら効果的な治療を行うにはスキルのある専門家が必要です。
また、効果の証明されているADHDの既存の治療法の代わりに、ニューロフィードバックにお金も時間も費やしてしまう人がいることも問題視されています。
また、ニューロフィードバックの効果が出なかった場合、ADHDの治療全般にくじけてしまう人もいます。そうすると、ADHDの治療に消極的になってしまいます。
結論
もしニューロフィードバックに興味があり、金銭的な余裕もあるのなら、ADHDの治療の選択肢の一つとなるでしょう。しかし(今のところは)あくまで科学的に証明された他の治療法に付け加えるオプションとしてと考えるほうがいいでしょう。
*ニューロフィードバックは現状、海外(アメリカ)で先行して行われている治療法ですが、徐々に日本でも受けられるようになっています。以下のサイトが日本でのニューロフィードバックに関する情報に詳しいです。
・ニューロフィードバックジャパン
・ニューロフィードバックトレーニング
参考記事:ADHD and Neurofeedback