認知行動療法はうつ病の治療などでよく使用される治療法です。
研究によると、ADHDの症状を改善する効果も認められています。
認知行動療法は、人生の出来事や経験についての考え方を変えるものです。否定的な考えを、より幸せで肯定的なものに変えるのです。
思考パターンを変えると、心身の健康が改善して人間関係が広がり、より幸せになれます。
認知行動療法の簡単なやり方
否定的な考え(心配、恐れなど)を感じるたびに、考えるのを止め、それを大きな紙に書き留めます。
それから、否定的な考えがウソだとわかる、3つの事実を書きます。
ADHDの人が考えがちなのは「自分は頭が悪い」です。
もしこの考えが浮かんだら、これに対抗する3つの事実を書きます。たとえば次のようなものです。
- 私は大学の学士号を持っている。
- 私は運転免許の試験を一発で合格した。
- 私は教科書を読むのが好きだ。
このほかによく考えがちなのは「いつも時間に遅れる」です。これについても、対抗する3つの事実を書きます。たとえば次のようなものです。
- 私は毎日時間通りに仕事場に行ける。
- 私は予約した診察時間の5分前に到着する。
- 友人は私が時間を守るとほめた。
このように、紙に書かれた事実は、頭の中で自分に話すものとは違います。
私たちの心は自分自身をトリックにかけ、違う現実を見せるのです。紙に書き出すことで、心の中の評論家を黙らせることができます。
紙に書いた事実は素直に受け入れる
さて、紙に書いた事実に対して「なるほど、しかし・・・」と逆らってはいけません。素直に受け入れましょう。
たとえば、大学の学位を持っている事実に対して「なるほど、しかし、試験や課題の締め切りの前はいつも徹夜をしてたし・・・」と思ったり、運転免許に一回で合格した事実に対して、もともと運転の才能があっただけと思うかもしれません。
しかし重要なのは、紙に書いた事実を守ることです。最初は不快かもしれませんが、守り続けましょう。
また、認知行動療法はシンプルにすることが大切です。複雑にすると時間がかかるため、日常的にできなくなります。
なぜ認知行動療法がADHDの人に効果的なのか?
ADHDの人の頭の中は否定的な考えにあふれているので、今を楽しめません。
否定的な考えは次のようなものです。
- 自信を喪失するような考え
- 自分の能力を疑い、詐欺師であるような考え
- 過去にしたこと、またはしなかったことの心配、恐怖についての考え
- 大参事を予想する
- 全般的な心配、不安
これらの考えは自尊心や生産性、良い習慣、身体的なエネルギーを蝕んでいきます。
もちろん、このような考え方は誰もが一度はしたことがあるでしょう。
しかし、ADHDの人は頭の回転が速く想像力が豊かなので、これらの否定的な思考のループから脱け出すことが難しいのです。
認知行動療法の短期・長期的効果
短期的な効果
否定的な感情がなくなり、前向きになります。
意識が高まり、先延ばしをあまりしなくなります。
長期的な効果
脳が再訓練されることで、有害な考えが少なくなり、ポジティブになります。
幸せになり、自信を得られます。
特に、自分に厳しくしないと何も成し遂げられないと考えてしまう人は注意です。
幸せな人こそが何かを成し遂げられるのです。
興味のある人は認知行動療法を一度試してみてはいかがでしょうか。紙に書き出すだけでも良いと思います。私も最近よくやっています。
参考記事:CBT for ADHD